シャミ子「一ヶ月4万円生活から抜け出して、桃への借金も返済できたので、遂にメガネを買ってもらいました」
良子「向かうところ敵なしだね!お姉は悪魔大将軍として、大きく前進したよ!」
小倉「良かったねぇシャミ子ちゃん」
シャミ子「はい良かったで……」
小倉「ん?」ニコッ
シャミ子「え?」
良子「この人……誰?」
シャミ子「えっと、同じ学校の同級生で……って、なんでここに小倉さんが!?」
小倉「そこにシャミ子ちゃんの家があったからだよ」
シャミ子「答えになってない!」
良子「そもそもどこから入ってきたの?」
小倉「天井裏かな?」
シャミ子「ますます訳が分からない!」
小倉「この子はシャミ子ちゃんの妹さんかな? 小倉しおんっていうの」
良子「あっ、吉田良子です」ペコリ
シャミ子「和やかに事が進んでますけど普通に不法侵入ですからね!?」
小倉「シャミ子ちゃん難しい言葉知ってるね」
小倉「さて、と。本題に入ろうかな?」
シャミ子「えっあの」
小倉「シャミ子ちゃん、そのメガネ……」
良子「お姉の……メガネが」
小倉「似合ってない」
シャミ子「はい?」
小倉「なんというかすごく派手なの。PPAPを彷彿とさせるような」
シャミ子「何を買ったらいいか分からなかったので、とりあえず店員さんのお薦めを買ってみたんですけど……」
良子「良は似合ってると思うよ!」
小倉「でもこのままだとシャミ子ちゃんは果物まぞくになってしまうわ」
シャミ子「果物まぞく!?」
小倉「というわけで、はいこれ!」
小倉「シャミ子ちゃんに似合いそうなメガネをピックアップしてみたの!」ガサゴソ
シャミ子「な、なんですかこれは……」
オドロオドロしいメガネの数々
良子「なんだか、いかにもって感じだね……」
小倉「ちょっと性格変動があるかもしれないけど大丈夫だよ〜。」
シャミ子「性格変動!?」
小倉「半端に派手なのよりはこっちのほうがいいよ、さ! つけてみて!」
シャミ子「じ、じゃあこのコウモリの羽がついたメガネを」スチャ
小倉「あ、お目が高いね!」
シャミ子「ん?」
小倉「そのメガネを通して誰かを見ると心の声が聞こえるの!」
小倉(シャミ子ちゃんにどんな実験に付き合ってもらおうかな? あーそうだまぞくの生態について……)
シャミ子「ひぃぃ!」
良子「お姉、大丈夫!?」
良子(お姉、大丈夫!?)
シャミ子「え、あ、はい! 大丈夫です! 良が純粋だってことがよく分かりました!」
良子「あ、そうか、心を呼んだんだね」
良子(あ、そうか、心を呼んだんだね)
シャミ子「良の声がエコーしてるようでなんだか斬新です……そして適応してる!」
小倉「これで相手を見てる間は心の声が駄々漏れだよ〜。制御効かないから〜。目を逸らすかメガネ外すと聞こえなくなるよ〜」
小倉(そうだ! リリスさんにも協力してもらってあんなことやこんなことも……)
シャミ子「外します外します!」スッ
シャミ子「はぁ……はぁ……なんだかどっと疲れました」
良子「この力を使って、配下の意見を円滑に回し、行く行くは敵の弱みを握って篭絡し、調略するんだね!」
シャミ子「ろ、篭絡? 調略?」
小倉「他のメガネも全部あげる! しかも全部シャミ子ちゃんの視力に合わせた度数になってるから快適だよ!」
シャミ子「なんで私の視力を知ってるんですか!? 怖い!」
小倉「あと説明書も付けておくから詳しくはそれを読んでね〜。それじゃ私はこれでー」
シャミ子「あっ! 行っちゃいました……」
良子「メガネに説明書なんてあるんだ……」
シャミ子「普通のメガネはあるんでしょうか……」
ところ変わってシャミ子の部屋
トカゲのしっぽつきメガネ…性格変動あり。
亀の甲羅メガネ…身体強化。ただし移動速度低下。
キツネのしっぽつきメガネ…金運が上がる。
馬と鹿の毛皮で編んだメガネ…羽目を外せるようになる。
その他もろもろ
シャミ子「な、なんだかRPGっぽくもあります……」
シャミ子「うーん……この中で一番ご利益がありそうなのはキツネのしっぽつきメガネでしょうか……」
シャミ子(でも、もしこのコウモリの羽つきメガネで桃を見たら……)
シャミ子(ダメです! これは悪用です!)
リリス「これはなんだ? シャミ子」
シャミ子「これは小倉さんがくれたあやしいメガネシリーズです」
リリス「ほぉ?」
シャミ子「実はかくかくしかじかで」
リリス「なんと! 余が置いてけぼりの間にそんなことになっておったのか!」
シャミ子「その節はホントにごめんなさいでした」
リリス「まぁよい。これで桃の思考を読めば、弱みを握りまくりじゃないか」
シャミ子「それはやっぱりズルなんじゃ……」
リリス「それに、桃の真意を確かめてみたくはないか? 桃がお主のことをどう思っているのか?」
シャミ子「それ……は……」
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シャミ子(結局、コウモリの羽つきメガネをかけてきちゃいました)
シャミ子(これで……ホントに良かったのかな?)
シャミ子「あ、桃!」
桃「おはよう、シャミ子。メガネ買ったんだ」
桃(あっ、シャミ子だ! シャミ子かわいい! シャミ子なんか変なメガネつけてるけどそのミスマッチ加減もいい! 最高! 今すぐ抱きしめたい!)
シャミ子「!?!?!?!?」
シャミ子「あ、えと、おはようございます……」
桃「どうしたのシャミ子、元気ないね?」
桃(なんだか落ち込んでる……どうしたのかな? シャミ子? まさかまた無茶したのかな!?)
シャミ子(な、なんか、思ってたのと違う!)
シャミ子(いや、思ってはいたけど、よりハード!)
シャミ子「桃は元気そうですね」
桃「うん、最近なんだか調子が良くて」
桃(シャミ子がいてくれるから)
シャミ子(……なんだ)
シャミ子(全然心配することなかったですね)
シャミ子「桃」
桃「ん?なに?シャミ子」
桃(近い近い近い近い近い近い近い近い近い///)
シャミ子「えっと、その……」
シャミ子「こ、これで勝ったと思うなよー! では!」ピュー
桃「えっ、ちょっ、シャミ子!?」
桃「……変なシャミ子」
教室
シャミ子(無理です無理です無理無理無理無理無理!)
シャミ子(私から仕掛けられる訳ないじゃないですか!)
シャミ子(はぁ……)
杏里「あれ? シャミ子どしたのー? ……プッ」
杏里(な、なんか変なメガネつけてるww)
シャミ子「あー、やっぱり変ですよね……」
杏里「あ、あれ? 声に出てた? いや〜ごめんごめん。なんか似合わなくて」
杏里(やっぱりってことはもらいもの? うーん小倉ちゃんかなぁ……)
シャミ子「小倉さんからもらいました」
杏里「なんかまた怪しい魔道具掴まされたね……?」
杏里(そして上手い具合に丸め込まれた、と)
シャミ子「これは人の心が読めるメガネです! なんだか悪いことをしてる気になってきたので外します」スッ
杏里「えっ、嘘! じゃあさっきまで私の考えてたこと全部聞こえてたってこと?」
シャミ子「そうなります」
杏里「小倉ちゃんもまた悪趣味なもの掴ますなぁ……シャミ子も絆されて悪用しちゃダメだよ?」
シャミ子「悪用は……しないです」
シャミ子(そう、悪用はしません。桃の気持ちに応えるためなのだ! だから、もう一回……)
シャミ子(勇気を出して……)
放課後 多魔川沿い
桃「シャミ子、今日もトレーニングしよう」
シャミ子「あっ、その前に!」スチャ
桃「?」
桃(あの変なメガネをつけた? さっきまで外してたのに?)
シャミ子「私は、桃が好きです」
桃「!?!?!?」
桃(エッッッッッッ!!!)
桃「シシシシシシシシシャミ子!? いきなりなんてこと言うんだ!」
桃(動揺しちゃったけどシャミ子今好きって言った?!好きって言った!?いぇぇぇい!シャミ子が悪いんだよシャミ子が悪いんだからね!)
シャミ子(あー…………)
シャミ子「桃も、なんでしょう?」
桃「えっ? あぁ、うん。そりゃ、共闘する仲間として、ね?」
桃(いやもう押し倒したい)
シャミ子「隠さないで!」
桃「!?」
桃(!?)
シャミ子「ごめんなさい……桃」
シャミ子「心の声がだだ漏れでした」
桃「!? あっ!」
桃(そのメガネか!)
シャミ子「そうです。でも、このメガネはもう必要ありません」スッ
桃「えっ?」
シャミ子「桃が、こんなに私を好きなんだってわかったとき」
シャミ子「すぐに応えるべきだった」
桃「シャミ子……」
シャミ子「卑怯だったと思います。けれど、桃は私のことどう思ってるのかって」
シャミ子「ホントはどう思ってるのかって……気になっちゃって」
桃「おばか!」
シャミ子「!」
桃「でも……私もばかだ」
桃「シャミ子の前ではいっつも強がって」
桃「本当はもっと甘えたかったのに、強くあろうとして」
桃「それで、シャミ子に不信感を与えてちゃ元も子もないのに……」
シャミ子「桃……」
桃「でももう我慢するのは止めることにした。こんな形で、っていうのもあれだけど……」
桃「私も、シャミ子が好きです。大好きです」
シャミ子「もんも……///」
頑張れ二人とも!
これからはお互いに本音をぶつけ合える仲になるんだ!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。