数年前…とある町
桃「フレッシュピーチハートシャワーっ!」
バフォメット「ぶおおっ」
桃「先輩っ、心をなくしたバフォメット系のまぞくがそっちの路地の方向にっ」
『OK、桃はそこで待機っ、あとは私たちにまかせてっ』
『フレッシュマグナムグレープアタックっ!』
ちゅどーん
……
魔法少女A「すごいわ桃、まだ9歳なのに魔法少女として、私たちと
まぞくと戦って…、いつも助かってるわ」
魔法少女B「ええ、さすが千代田桜さんの妹ねっ」
桃「……、」
魔法少女C「ちょ、やめなさいよ、桃の前で桜さんの話をするのはっ、
ごめんね桃、この子気遣いができなくて」
桃「ううん、別に、気にしてない」
数年前、私のおねーちゃん、千代田桜は突然いなくなった。
失踪というやつだ。
それ以来、なんかいろいろあって…、わたしはお姉ちゃんの行方を
探しつつ、この3人の魔法少女の 先輩たちに色々教えてもらいながら、この町をワルいまぞくから守っている
魔法少女B「何よ、いいじゃない別にほめてるんだから。
ただ、桜さんは優秀だったけど、
私は、あんまり…だわ。だってあの人、穏健派の魔法少女、じゃない」
魔法少女C「こ、こら、だから桃の前でそんな話はっ」
桃「(穏健派ってなんだろ…?)」
桃「あ、ところで…先輩」
魔法少女A「ん?何かしら、桃」
桃「いつもは、私が町で悪さするまぞくを先輩たちがいる路地まで
誘導させる役ですけど、その後ってどうやってまぞくを町から追い出してるんですか?」
魔法少女A「ん…?追い出す?」
桃「え…?だって、どんな強そうなまぞくでも、
一度町から追い出したまぞくは二度と町で見かけないし…、
一体どんな方法や技をつかってるのかなって…」
魔法少女A、B、C「………」
魔法少女A「あ、ああ…、そうね、桃。いつもまぞくを追い込む役をまかせてたから、
わかってなかったのねっ」
魔法少女A「けど、なんていうか…それはアレね、貴方はまだ小さいし…」
魔法少女A「そこは引っかからなくていいわ」
桃「……?」
先輩の話によると、この町は何かふうすい的?じば的?なアレで
まぞくが魔力を蓄えるのにうってつけの場所らしくて、ほかの町より沢山のまぞくが集まってくる土地柄らしい
理性をなくしてみたいに暴れまわって、町に迷惑かけるまぞくが多いのは、
きっと、蓄えた魔力を制御しきれずに暴走しているから。
そんなワルまぞくから町を守るのは、魔法少女としての私の使命。
そんなある日。
季節は冬。
魔法少女A「今日もお疲れ様、桃。今日もワルまぞくも追い払って、任務を完了したわ。
ってあら、桃、貴方、頭、ケガしてない?」
桃「ああ、さっきのまぞくと戦ったときに強めに頭はたかれて…
けどこれくらい、いつものことだし大丈夫。今日はもう帰ります、お疲れ様です」
魔法少女A「そう、まあ魔法少女だし、自然治癒されると思うけど、気を付けて帰りなさいね」
……
そのまま帰路につく桃
桃「痛…、とは言ったものの、ちょっと、痛む、かも…?」
「え?あ、あの、あなた、頭大丈夫?」
桃「……、成績なら理系を中心に高得点ですけど」
「いや、そういう意味じゃなく…頭からドクドク血が出てんだけど…ちょっとこっちいらっしゃいっ」
桃「え…?」
喫茶店
「そのまま動かないでね、いま手当するから。どうしたの?友達とタイマンでも張った?」
桃「ううん、ワルまぞくにちょっとどつかれただけ。魔法少女やってるから」
「そう、18歳の一般ピーポーの私にはよくわからないけど、小さいのにえらいのね。
私の生まれ故郷を守ってくれて」
桃「べ、別に、そういうのじゃ…」
「はい、できたわ。治療を終わりっ、ガーゼくっつけて血も止まってきたし、大丈夫だと思うわっ若いしこれで十分よねっ」
桃「(………、手当してもらってなんだけど、なんだかしぬほど雑…
あれ、けど、このアバウトな感じ…、口調…、なんか懐かしいような…)」
「ねえ、あなた名前は?」
桃「千代田…桃。手当してくれて、その」
「わたし、ここで客足がない喫茶店を営んでるの。私にも貴方くらいの妹がいるからかしら。なんだかほっとけないわ。またケガしたら来てね、桃ちゃん」
桃「(そうだ…、この人、どことなく似てる……、桜お姉ちゃんに)」
桃「うん、…手当してくれてありがとうお姉さん」
その日以来、わたしはお姉さんの喫茶店に通い詰めるようになった
お姉さん「…ほんとに頻繁にケガしてくるのね、ひょっとして桃ちゃんって魔法少女として弱いのかしら?」
桃「そ、そんなことない、まだ修行中なだけで」
お姉さん「もう少し修行したほうがいいんじゃない?筋トレしてる?
筋肉をつけないと強くなれないと思うの」
桃「素人考え。魔法少女は筋トレなんかで強くなったりはしない」
お姉さん「実はわたし、筋トレにはうるさくて、それじゃさっそくやってみよっかっ」
桃「人の話を……、まあ、いいけど。お姉さんがそれで気が済むなら」
お姉さん「そう、わかったわ、それじゃまずこのタイヤを括った紐を体に巻き付けるところからはじめてみよっか」
桃「(あれ…?思ったよりもガチ向き…?)」
後日
魔法少女A「すごいわ、桃っ、魔力がいままで比べて格段にあがってる」
魔法少女B「ホントだわ、ひょっとして影で特訓でもしてるの!?」
魔法少女C「やっぱり桃は将来有望な魔法少女だわっ」
桃「え……」
桃「そんな…うそ…ばかな…筋トレくらいで」ワナワナ
魔法少女A「まあ、どうしたの桃、なんかあんまりうれしくなさそう」
魔法少女B「きっと自分でも驚きをかくせないのね…、けど桃っ、あなた最近かわったわ」
桃「え?」
魔法少女A「最近ちょっと見た目も明るくなってきて、可愛くなってきてるし…、
心も落ち着いてきてるようにみえる」
魔法少女C「ホントね、何かいいことでもあったのかしら?魔力っているのはさまざまな要因であがるから、
最近あったいい出来事も関係しているのかもね」
桃「それは…」
桃「(魔力もあがって…、一人前の魔法少女になりつつある…これは筋トレのおかげ…?それとも)」
桃「(お姉さんのおかげ…?)」
桃「こ、こんにちは」
お姉さん「あら、桃ちゃん。また、来たのね。あら、今日はケガしてないのね」
桃「だいぶ強くなったから」
お姉さん「ふーん、それじゃ、今日は何の用事?」
桃「べ、別に…、ただ、遊びに来た」
それから…、わたしは学校や魔法少女としての仕事の合間に、時間をみつけては
お姉さんの喫茶店にかようようになった。
そこで、ケガを手当してもらったり…、一緒に筋トレをしたり。
あとは…、一緒にお茶して、たわいもない話をしたりたり。
いつのまにか、わたしは喫茶店にかようのが楽しみになっていた。
そんなある日のこと。
桃「こ、こんにちは」
お姉さん「あら、桃ちゃん。また、来たのね。あら、今日はケガしてないのね」
桃「だいぶ強くなったから」
お姉さん「ふーん、それじゃ、今日は何の用事?」
桃「べ、別に…、ただ、遊びに来た」
それから…、わたしは学校や魔法少女としての仕事の合間に、時間をみつけては
お姉さんの喫茶店にかようようになった。
そこで、ケガを手当してもらったり…、一緒に筋トレをしたり。
あとは…、一緒にお茶して、たわいもない話をしたりたり。
いつのまにか、わたしは喫茶店にかようのが楽しみになっていた。
そんなある日のこと。
桃「今日も遅くまでお姉さんの喫茶店にいちゃったな…ふふ」
バフォメット「……」うろうろ
桃「!!?あれは…、まぞくっ!いつもの心をなくしたバフォメット系…、
先輩たちに連絡をしないと…、……っ」
桃「(いや、私ももう…、一人前の魔法少女…一人でも追い払うことはできるはず…)」
桃「町で暴れちゃダメでしょっ、てえいっ!」
バフォメット「どわっ、あぶなっ!な、なにすんの、危ないやんっ」
桃「え…あれしゃべった!?」
バフォメット「えーうそ、いまどき強硬派がいるのか、この町っ、
言っとくけど知り合いに会いにきただけなんだけどっ」
桃「…え?強硬派ってなに…?」
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バフォメット「仕方ないから町から出ていくわっ、それじゃ」ドスドス
桃「…あ、ちょっ…、ご、ごめん。わたし、そんなつもりじゃ…」
「フレッシュマグナムパインシャワーっ」
ちゅどーん
桃「……え?」
魔法少女B「ふう、これで今月だけで20体目…、この町を魔力が供給しやすい地場に作り替えたのは正解だったみたいね」
魔法少女A「虫が群がるみたいに闇の一族がたくさん寄ってくるし、この町にいればどんどんまぞくを駆除できるわ」
魔法少女C「けどこれだけまぞくを倒せば、かなりのポイントがたまって…、え?あ、あれ桃?なんでこんなところに」
桃「…え…え?」
桃「い、いま…、バフォメットが…大技にあたって…、跡形もなく消えて…」
魔法少女A「あ、あー、みちゃったのね、桃。けどもうあなたも実力的に言ったら
一流の魔法少女。そろそろ知っておかないとね」
魔法少女A「あのね桃、まぞくは…、追い払うものじゃないの、駆逐するものなの」
桃「え…?け、けど、いまのまぞくは理性もあって…、
暴れる様子もなかった…多分、悪いまぞくじゃ」
魔法少女B「ううん、あのね、桃。まぞくにいいも悪いもないのよ。
まぞくっているのは、みんなみんな、世界に危害を与える悪なんだからね?」
魔法少女C「あ、それでね、桃。あなたももう立派な魔法少女だし…、
そろそろ正式に私たちの団体に入ってもらっていいかしら?」
魔法少女C「いままで隠していたわけじゃないけれど…、私たちこういう団体に所属してるの、
この書類に名前と印鑑を押して、あした持ってきてもらっていい?」ぴらっ
桃「え……?」
魔法少女団体
「闇の一族を絶対に許さない会」 入団書類
桃「」
この時…私は、魔法少女にもいろいろな考えの人がいて…、
3人の先輩たちは、ぎょーかいで言うところの『強硬派』と呼ばれる魔法少女、であったことを初めて知った。
『強硬派』 ~魔法少女辞典より~
① まぞく大っ嫌い派。出会ったら、即大技ぶっ放す系の人たち。
② まぞくを倒したポイントをためまくって、自分の願いをかなえるのに熱心な人たち
その数日後…
魔法少女B「あれ以来、桃がこないわ…、電話しても出ないし…、どうしたのかしら」
魔法少女C「やっぱり桃には少し早すぎたかしら、私たちの団体のことを話すのは…
桜さんも穏健派だし、私たちの崇高な思想は理解できなかったのかも」
魔法少女A「いえ…、あの歳であれだけの力をもった魔法少女…、
絶対に私たちの団体に引き入れないと…、桃を探しにいきましょうっ」
……
喫茶店
桃「………」
お姉さん「さっきからそんなに黙りこくっちゃって…、何かあったの?」
桃「……先輩たちが、町に来たまぞくの命をことごとく奪ってた…、
わたし…そんなこと知らなくて…一緒に協力してた、ずっと…
町で暴れるまぞく追い払っていただけだと…」
お姉さん「…そう、けど、それは仕方ないことじゃないの?追い出すだけじゃあ、
また別の町で危害を加えるかもしれないわけだし」
お姉さん「それが魔法少女としての仕事、なんでしょ?」
桃「いや…、け、けど…まぞくだって皆が皆、危害を与える存在じゃないし…、
この間みたバフォメットの人は理性的だった…、ワルまぞくって感じじゃなかった…のに」
お姉さん「それじゃあ…、桃ちゃんは魔法少女としてどうするべきだとおもうの?」
桃「そ、それは……」
桃「そ、それは……」
桃「………」
桃「(………、桜お姉ちゃんなら…、どうしてただろう)」
お姉さん「……」
お姉さん「ねえ、桃ちゃん。魔法少女。もうやめちゃわない?」
桃「……え?」
お姉さん「だって、いつも傷づいて戦ってる桃ちゃんを見るのはつらいし…、
それに今の桃ちゃんは巫女として戦う理由も揺らいじゃってる…」
桃「え……?巫女って…?」
お姉さん「あ、ごめんね、巫女っていうのは魔法少女のこと。
で、だったらもう、魔法少女をやめるっていう手もあると思うわ…」
お姉さん「そして光の道からはずれ、闇の道に落ちて…、わたしの眷属になる、という道も」
桃「…………」
桃「…………、お姉さん、何言って」
バンッ
魔法少女A「桃っ!!」
桃「せ、先輩たち、いったいどうしてここにっ!?」
魔法少女B「どうもこうもないわ、最近顔を見せないとおもって心配して探してたら…、アンタなんて奴と一緒にアフタヌーンティを愉しんでんのよっ!」
魔法少女C「けどでかしたわっ!そいつは私たちたちの団体がずっと探していた
超大物のまぞくっ!数千年前、世界を滅ぼしかけたゴリッゴリのだいまぞくよっ!」
桃「え……、ゴリゴリまぞくって……、誰…?だ、誰のお話してるの…?」
お姉さん「……」
魔法少女A「これほどの大物だもの、4人で力を合わせて倒すわよっ!
フレッシュマグナムグレープアタッ…っ」
桃「ちょ、ちょっと待って!やめて!タイムっ」
魔法少女A「も、桃っ!何やってるの、はやくこっちにいらっしゃいっ!
わたしの大技に巻き込まれちゃうわっ」
桃「お、おかしいですっ、おねーさんがゴリゴリまぞく
だなんて信じられないし…!」
魔法少女B「まだ気づいてないの!?あんた、だまされてたのよっ!
優しいお姉さんのふりして、あんたのことを」
桃「そんなのウソっ!それに、仮にまぞくだからって、その人のことよく知りもせず、
退治しちゃうのはやっぱり間違ってるっ!そこまで悪いまぞくじゃないかもしれないのに…!」
桃「も、もっと話し合ったり…!一緒にお茶したり…、
筋トレしあって汗を流すうちに分かり合えるかもしれないしっ」
お姉さん「………」
魔法少女A「も、桃っ!ああ…なんてことを…っ」
魔法少女B「あーあ、やっぱ桜さんの妹だったか…最悪」
魔法少女C「穏健派らしい情弱な考え方…、悲しいわ桃…、もう分かり合えないのね」
桃「お姉ちゃん、私の手につかまってっ、逃げようっ」
お姉さん「え…え?」
魔法少女A「待ちなさいっ!その女はここに置いていきなさいっフレッシュグレープトライデントっ」ザシュッ
桃「がはっ!」
魔法少女A「あっ!?」
桃「……っ、っフレッシュピーチグレネードっ!」
……
魔法少女A「く…桃。閃光弾で私たちの目をくらました隙に逃げるなんて…、
子供のくせに小癪」
魔法少女C「ね、ねえ…今、さっき貴方の大技が桃にあたったような…」
魔法少女A「そうね、けど仕方ないわ…、
これで桃はまぞく側に寝返ったも同然だし…、それより本部に応援を頼みましょう」
魔法少女B「ええ、もうやってるわ。
「こちら、●●町管轄の魔法少女より。世界を滅ぼすレベル超A級のまぞくと、
そのまぞくに協力する魔法少女1名を確認した。至急、殲滅のための応援を要請する」
桃の通う小学校
教室
桃「はあ…はあ…、ここまでくればとりあえずは…、今日は休日で学校に誰もいないし
…、騒ぎになることも…うっ!」
お姉さん「た、大変、桃ちゃんっ!わ、脇腹に傷が…!」
桃「だ、大丈夫…、私は魔法少女だし…、しばらく治癒すればこれくらい」
お姉さん「だ、だめよ、は、はやく手当てしないと」
保健室
お姉さん「とりあえず、包帯でぐるぐる巻きにしたけど…、、はやく病院にいかないと」
桃「大丈夫だよ。だいぶ治ってきた。それより…その…お姉さん…」
桃「うそ…、だよね?お姉さんが世界を滅ぼしかけたゴリゴリだいまぞくなんて…」
お姉さん「………」
お姉さん「………本当よ」
桃「え……?」
お姉さん「数千年前の巫女との闘いで魂を封印されちゃったんだけど…、
なんとか最近、形をなして外界と接触できるようになってね」
お姉さん「巫女たちに復讐しようとおもって、数年前からこの町に住みつつ魔力を蓄えてたの」
お姉さん「特に最近じゃ、ケガして喫茶店によく出入りするかわいい魔法少女さんのおかげで
血液から魔力をうまく吸収することができたし…」
お姉さん「ちょうどいま、その魔法少女ちゃんの傷口からたくさん血液も奪うことができて…、
たった今、魔力もそこそこ戦えるくらいまでにたまってきた、かな」
桃「…………、え……?」
………
桃「………うそ…だったの?この町が生まれ故郷で…、18歳の一般ピーポーって」
お姉さん「うん。ホントの生まれはメソポタミアで年齢はもう…、4000オーバー、かな」
桃「ケガするわたしを手当てしてくれてたのは」
お姉さん「うん。手当にかこつけて、桃ちゃんの血液もらって魔力を吸収するため、かな」
桃「き、筋トレを教えてくれたのはっ」
お姉さん「桃ちゃんが強くなってくれたら、それだけわたしが奪える魔力の質もあがるから」
桃「………」
…………
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桃「…………だ、」
桃「だ、だましたな、まぞくめっ!わ、わたしのことずっと騙してて、ほんとはもう一回世界を滅ぼすための魔力を私から奪ってたんだっ!」
お姉さん「そういうことになるね」
桃「そんなこすい手を使って!ずるまぞくだっ、いやらしまぞくっ!バカまぞくっ!」
桃「嘘つきまぞくっ!」
お姉さん「………」
桃「嘘……つきまぞく…め」
お姉さん「………」
桃「………、ほんとの」
お姉さん「……え?」
桃「ほんとの…お姉ちゃんみたいだと思って…、うれしかった、のに
桜お姉ちゃんがいなくなって…親友のミカンとも別れてしまって…ずっと1人で…寂しかった…から…」
桃「わたしくらいの妹がいるとか…、そんな話も全部、うそだったんだね」
お姉さん「…それは本当だよ。妹はいたけど、昔、巫女さんに退治されちゃった…。
桃ちゃんがどことなく私の妹に似てて、ほっとけなかった、ていうのも嘘じゃない…」
お姉さん「だから私が桃ちゃんを闇の道に誘ったのは…」
桃「もういい……、もう…何も…、信じられない」
お姉さん「…」
お姉さん「そっか、それじゃもう…、わたしは私のやりたいことを果たそうかな」
桃「!!??…な、なに外が暗くなってきた…、…え!?な、なにをしたの!?」
お姉さん「何って…、わたしの魔力で世界を闇に包んでるの。
この世界にいる魔法少女を滅ぼすために…」
お姉さん「…、っていうかまあ、魔法少女以外も滅んじゃうから、
実質世界が滅んじゃうことになるけど」
桃「なっ…!」
そのころ…、とある町では
ミカン「うん、やっぱりこたつで食べる柑橘類は最高ね、桃にも送ってあげようかしら。
それに最近会ってないし、たまには連絡を…、あれ…、何かしら…外が暗く…?」
ミカン「な、なにこれ…、強大な魔力で世界が闇に包まれている…!なによコレいったい何が起こって…あ、ああやばい、動揺して呪いが出ちゃう
…け、、けど、動揺が止められないいいっ!」がちゃーんぱりーん
……
とある喫茶店
リコ「あら~、どこぞのいきった巫女はんが、ゴリゴリのまぞくの逆鱗にでもふれたんかなあ、
けど、これじゃ世界終わっちゃいそうだし、巻き込まれるのは勘弁してほしかったなあ」
白澤「り、リコくん、いいから店の中に入ってっ!危ないからっ」
…
とあるボロアパート
優子(のちのシャミ子)「どうしたんでしょう、お母さん。まだ昼過ぎのはずなのにお外が暗いです。はっ、これがまさか日食、とかいうやつでしょうか、理科の授業でならいましたっ」
清子「日食は全然時期が違いますよ、優子、それよりこっちへいらっしゃい、ほら、良子も」ぎゅっ
優子「…?お母さん、どうしたんですか、急に抱きしめたりして」
清子「(このただならぬ事態…、ああ…、お父さん、私たち家族をどうか守ってくださいっ)
……
リリス「(ううむ、どうやらどこぞの上位まぞくが猛威をふるっておるようだな…、この時代の魔法少女がうまく止
められるかどうか…、まあダメだったら世界が滅んでしまうまでだが…)」
リリス「(ああ、けど世界が滅ぶ前にせめて………、日本の温泉巡りしたかったなぁ)」
……
お姉さん「今年の冬は雪が降らないね…、闇の包まれた世界の中でしんしんと降り続
ける雪をみるのが好きなのに…、ねえ、桃ちゃんもそう思わない?」
桃「な、なにしてるのっ、やめて、やめてってばっ!」
お姉さん「無理よ、そんなの、やめてほしかったら桃ちゃんも魔法少女なんだし、
自分の力で止めてみなよ」
桃「な、…なんで…、そんなの…でき…できないよ…、お姉さんに、そんなこと」
お姉さん「だったら、このまま世界が滅ぶの指をくわえてみてるといいわ…
桜お姉ちゃんも…ミカンってお友達も…みんなこの世界からいなくなる様を…そのまま」
桃「………っ!!」
桃「……っ、フレッシュピーチハートシャワーっ!」
桃「フレッシュピーチハートシャワーっ!シャワーっ!」
お姉さん「…聞かないなあ…何それ?それ大技?」
桃「ち、違うから…こ、これは…中技っ!」
お姉さん「ふーん、大技はできないの?」
桃「で、できるよっ!最近覚えたっ、けど…けど…っ」
お姉さん「そのまま出せないなら…このまま皆ともお別れだね?」
桃「……っ!」
桃「フレッシュピーチメッシュインパクトキャノンっ!」
どぎゃあああん!!
お姉さん「…、ものすごく強力でいい技だね…」
お姉さん「まあ当たってたら多分滅んでたとおもうけど…、ノーコンなのかな」
桃「ぐす…ぐす…、だって…だって……」
桃「わたし…わたし…、お姉さんのこと…退治したく…ない…ワルまぞくでも…
ゴリゴリまぞくでも……」
桃「退治なんて…できない」
お姉さん「はあ…、まだまだ未熟だね。桃色魔法少女さんは」
桃「も、桃色…魔法少女?」
お姉さん「そう…、未熟で甘えん坊で心優しい桃ちゃんにピッタリのネーミングじゃない?」
お姉さん「けど、まあ、もっともっと修行して強くなって…その気持ちがずっと続くのなら
…桃ちゃんならなれるかもね、誰よりも優しく、強い桃色魔法少女に」
桃「え……?」
お姉さん「そうしたらきっと…、光と闇の一族の関係ももう少しは…」
桃「……!?あ、お姉さん…体が透けて…」
お姉さん「……はは」
お姉さん「ジョークだよ、ジョーク。世界を闇に包むなんて大技…、ちょっと桃ちゃんから
血を奪ったくらいじゃ全然足りないから…、見ての通りもう…世界を闇に包む前に…、
魔力使い果たして、体が崩壊しかかって…、もう限界無念、ね」
お姉さん「ありったけの魔力を使って最後にちょっと皆を驚かせたかっただけよ…、
強硬派の魔法少女たちに見つかって…後がないと思ったし…、もうすぐ強硬派の連中がここまでくるだろうけど」
お姉さん「あいつらにまた滅ぼされるのはシャクだったから…仕方ないから…、今回は大おまけで桃ちゃんに滅ぼされたことにする…」
桃「え!?お、おねえさ…!だ、だめ、消えないでっ、いなくなっちゃやだよっ!!」
お姉さん「魔法少女にそんなこと言われたのはじめてね…、桃ちゃんは穏健派の考えみたいだけど…、
一応わたし、世界を滅ぼすレベルのまぞくだし、そこわきまえたほうが…」
桃「い、嫌だっ!いかないでよ…!、ワルまぞくでも嘘つきまぞくでも…ゴリゴリまぞくでも…なんでもいいから…」
桃「お姉さん…私もう…、一人は…やだ……、いなく…ならないで」
お姉さん「………」
お姉さん「今、呪いをかけたわ、桃ちゃんに」
桃「え?」
お姉さん「そう…、最後の力を振り絞って……
エーテル体を私の魔力をほんのりトッピングすることで発動する…、
上級のまぞくが自分を倒した魔法少女にかける恨みを込めた呪いよ」
お姉さん「桃ちゃんにはこの先の人生、必ず、私と同じ闇の一族のものが、
必ず宿敵として立ちはだかる。どんな相手になるかは分かんないけど…、
できる限り、桃ちゃんを退屈させない…、さみしい、だなんて思う暇もないような…
ハチャメチャな…いろいろな意味で強力な力もったまぞくになることを
お祈りしておく…」
桃「……え?宿敵…?まぞくの宿敵…?お姉さん…、何の話……?」
お姉さん「楽しみにまってて、ね…乞うご期……待…」
お姉さん「………」
桃「あ………」
桃「……お、ねえさん…」
……
………
………数か月後
ミカン『世界を救ったって、業界の間で噂になってたから、電話してみたのだけれど…、
なんだか元気ないわね?大丈夫、あなたちゃんとご飯食べてる?』
桃「うん、まあいろいろあったけど大丈夫。わざわざ連絡くれてありがとう、ミカン」
ミカン『あ、あと、ビタミンが足りてないとおもってあなたの家に
柑橘類送っておいたから、食べてね』
桃「あ、ごめんあの町の家はもう引き払って、別の町に行く予定なんだけど」
ミカン『先言えっ!あなた今どこにいるの!?ねえ、よかったら、私の町に来ない!?
桃がいたら百人力だし、あなたの町にいたような時代遅れの強硬派はいないわっ、
一緒に魔法少女の仕事を私としましょうよ』
桃「ごめんミカン、もう魔法少女はやめることにしたんだ」
ミカン『え?い、いまなんて言ったの、桃っ!なんかものすごくすごいセリフをさらっと言わなかった?
え、あ、ちょっ、わたし動揺してきて、ああっ、の、呪いがでちゃ』
桃「(…まだ呪い治ってなかったのか…)、
あ、ごめんミカン、電車が来たみたいだから…」
ミカン『え、あ、あのっ!桃っ!?ちょ、いまどこにっ!』
……
桃「さあ、行かないと…、ん……あれ……、雪だ…、もうすぐ春なのに…珍しい……」
…………
桃「……、こういう真っ白い寒空の中降る雪のほうが、わたしは好きだけどな…」
寒空の下、車窓から空からしんしんと降り続ける雪を眺めながら、
わたしはこの町を後にした。
おねえさんが消えてなくなってから…、町はウソみたいにまぞくが
寄り付かなくなり…、今では町を守る魔法少女も住んでいない。
私は、まぞくに加担した者として強硬派の魔法少女から狙われるどころか、
世界を救った魔法少女として一時崇められて…、
彼らから猛烈な勢いで勧誘されたけど、当然断った。
そして、仕事をいろいろ教えてくれた3人の先輩魔法少女とも…
あれから、連絡は取り合っていない。
それと…、
あのゴタゴタの中で、先輩の一人から受けた脇腹の傷は…
結局完全には治らず、古傷として残ることになった。
それからさらに数年がたち…
多魔市桜ケ丘
多魔川の河川敷
シャミ子「あ、あの…桃…、冬の河川敷でのトレーニングはさすがに応えるというか…、
せ、せめてこたつとミカンが置いてある暖かい部屋の中でゴロゴロしながらトレーニングする案を
提案したいのですが」
桃「大丈夫だよシャミ子…運動しているうちに体はぽかぽかになってくるから、
よし、スクワットあと30回追加、かな」
シャミ子「え!!??もう十分スクワットしたとおもいますがっ」
桃「シャミ子もだいぶ成長してきたけど、その程度じゃ、
ゴリゴリ魔法少女に会った時に太刀打ちできないし…、もっと頑張らないと」
シャミ子「ご、ゴリゴリってなんですかっ、よくわかりませんけどっ!?」
シャミ子「ぐ、ぐぬぬぬ…おのれ魔法少女めえ…!この寒空の下、ハードな
トレーニングを強要するとは…やっぱり桃は、光の一族というよりも闇よりです…っ」
桃「シャミ子、無駄口たたいてるともっと疲れちゃうよ」
リリス「いや、けどそれはありがち間違ってないかもしれぬのう、
余もずっとそう思っておった。桃は性格的にも闇っぽいし…」
桃「り、リリスさんまで…」
シャミ子「そうそう、そうでしょっ、
いろいろ姑息な手を思いつきますし…、時々怖いこと言うし、断然闇っぽいですっ」
桃「相変わらずボコボコにしてくるね…」
リリス「いや、余的には、それだけじゃないぞ桃よ。
はじめてお主を見たとき…、おぬしのエーテル体の中にほんのり闇の者の香りが
したのを感じたのじゃ…」
桃「え……?」
リリス「ありえない話だが…、桃の中にまぞくが憑依しているような…」
リリス「まあ、いつしかそんな感じはなくなってしまったから…
気のせいであったかもしれぬがの」
シャミ子「そうそう、そうです…、今の話はよく分かりませんが
やっぱり桃は闇よりです。桃色というより闇寄り魔法少女と改名しては……桃?どうしたんですか?」
桃「……………」
桃「(…あれ、なんだろう……、胸が…ざわざわする…)」
桃「(ずっと昔…、嫌だと思って…、思い出したくなくて…、心にしまってた思い出の中で…、
…わたし…、なにか…重大なことを忘れているような……)」
桃「………」
シャミ子「も、桃…、どうしたんです?、冗談のつもりだったんですけど…
もしかして気にしてるのなら…ってあれ…?」
シャミ子「みてください、桃、ごせんぞっ、雪ですよっ、…多魔市では珍しいですっ」
リリス「ほほう、雪か久しぶりにみるのう」
桃「雪…」
シャミ子「冬の真っ白い空から降ってくる雪をみるのってキレイで好きけど…、
なんだかわけもなく少し寂しい気持ちにもなってきますね、ねえ桃……え?」
桃「………」
『わたし、ここで客足がない喫茶店を営んでるの』
『私にも貴方くらいの妹がいるからかしら。なんだかほっとけないわ。
またケガしたら来てね、桃ちゃん』
『もう少し修行したほうがいいんじゃない?筋トレしてる?
筋肉をつけないと強くなれないと思うの』
『あら、桃ちゃん。また、来たのね』
『…呪いをかけたわ、桃ちゃんに』
『エーテル体を私の魔力をほんのりトッピングすることで発動する…』
『桃ちゃんにはこの先の人生、必ず、私と同じ闇の一族のものが、宿敵として立ちはだかる』
『どんな相手になるかは分かんないけど…、
できる限り、桃ちゃんを退屈させない…、さみしい、だなんて思う暇もないような…
ハチャメチャな…強大な力をもったまぞくになることでしょう…』
『楽しみにまってて、ね…乞うご期……待…』
………
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………
シャミ子「ど、どうしたんですか、桃…?そんなわたしのほうを見つめて…え?」
桃「………、え?」
シャミ子「も、桃っ!?な、なんで泣いてるんですっ!」
桃「あ、ちょ…!ち、違っ……、な、泣いてない…、こ、これは……、目汁で…、
ぐす…ぐす」
リリス「どうしたのだ、桃よ突然…、マジ泣きじゃないか…」
桃「だ、だからこれは目汁であって…、いやホントちがくて…!」
シャミ子「え、え?なんですか!?どこか痛いんですか桃っ」
桃「あ、ううん…、ち、違う…あ…、けど、その…、シャミ子の言う通り…、
やっぱり私は闇寄り魔法少女かも…」
シャミ子「え…?」
桃「ああそうか…、なんでずっと気づかなかったんだろう…、嫌だとおもってた思い出を
全部心に閉じ込めすぎて…、
実はものすごく気を使われてて、想われてたことに気づかなかった…」
桃「そうか…、きっと私は…、闇の恩恵をさずかって…今
シャミ子が…、みんながいて…、さみしくなんかなくて…、毎日楽しいんだ…」
シャミ子「……え?え?」
シャミ子「もも…、ほ、ホントどうしたんですか、ねえ…」
桃「あー…、今日、なんか寒いね、シャミ子。
…やっぱりかえって、こたつであったまってゴロゴロしよっか」
シャミ子「え、ちょ、ちょっと桃」
桃「じゃ、わたし先帰ってくね。そうだ、ミカンも杏里とかも一緒によんで…
今日は鍋パーティでもいいかな、シャミ子鍋の準備頼んでいいかな」
シャミ子「いや私は飯炊きまぞくではないんですけどっ、何系の鍋が…、
い、いや、それ以前にも、桃らしくないセリフ、いやほんとどうしたんですか、
桃ってばあ!」
桃「あ、あーもういいからいいから、先言ってるよシャミ子」
……
がんばれ桃さんっ!つらい過去の経験も乗り越えて、これからは
宿敵や周りの友人とともに、優しく、強くいきるんだっ!
おしまい
感動した
おつ
原作の点をうまく繋いで線にしたな
誰かと筋トレするのが桃にとっておそらく数少ない他人との楽しかった思い出なんだな
それを無意識に?シャミ子と共有しているのが尊い
血を奪ったのも嘘だろうし、追い込まれたというのも嘘っぽい?
まぞくと光の巫女の未来を託したと
まじかよ
尊い
多分桃のことを想ってたのはほんとなんだろうなって感じが伝わって尊い