シャミ子「そうです! つぶやいたーだってフォローしたのにあれから一度も呟いてないし!」
桃「えぇ…別によくない?」
シャミ子「よくないです!」
ミカン「確かに桃が呟いてるのって見たことないわね」
シャミ子「ですよね!」
桃「そう言われても…何を呟けばいいか分からないし…」
シャミ子「え? それは…日々の中でふと思ったこととか、可愛い物や美味しい物の写真を撮って載せたりとか…」
桃「…何の意味があるの?」
シャミ子「んなっ!!」
ミカン「うわあ…」
シャミ子「…と、とにかく! 今日から毎日何か呟くようにしてください! じゃないとご飯作ってあげませんから!」ポコー
桃「えぇっ!?」ガーン
ミカン「シャミ子のご飯が食べられなくなるのは痛いわね…」
桃「でもさ、どうしてそこまでして私に呟かせたいの?」
シャミ子「そっ、それは…」
シャミ子(桃のことがもっと知りたいから…)
シャミ子「…きさまの弱点をもっと知るためだ! 敵情視察だ!」
桃「それ私に言っちゃうと意味なくない?」
シャミ子「そこは引っかからなくていいです! 夕方までに何も呟いてなかったらご飯はお預けですからね! では私は買い出しに行くので失礼します!」バタンッ
桃「……??」
ミカン「女子力低いと苦労するわね」ニヤニヤ
桃「…なんでニヤニヤしてるのかな」
ミカン「お気になさらず」ニヤニヤ
──────
───
──
シャミ子「さて、買い出しも済ませたし夕飯の用意…の前に」
シャミ子「桃、ちゃんと呟いてくれてるでしょうか…?」スマホポチー
────────────
桃色@FreshP_3025『あ』
────────────
シャミ子「いや、いくらなんでもテキトーすぎるだろう! 流石にこれは認められない!」ピロリンッ
シャミ子「…ん?また何か新着の呟きが…」ポチッ
────────────
桃色@FreshP_3025『おなかすいた』
────────────
シャミ子「…………」
シャミ子「…ああもう! 仕方ないですね! 作りに行ってあげますよ!」
~桃宅~
シャミ子「桃! 入りますよ!」ガチャッ
桃「シャミ子。今日のご飯何?」
シャミ子「今日は麻婆豆腐です……じゃくなくて! なんですかさっきの呟きは! テキトーにも程がある!」
桃「ごめん…何も思い浮かばなかったから」
シャミ子「まったく…明日からはもう少しマシなのをお願いしますね?」
桃「わ、分かった」
──────
───
──
~シャミ子宅~
シャミ子「ふわあ…そろそろ寝ましょうか」ピロリンッ
シャミ子「あ、つぶやいたーの通知…」ポチッ
────────────
桃色@FreshP_3025
今日もご飯おいしかった
────────────
シャミ子「~~~ッ!///」カァァァ
シャミ子「……『明日も楽しみにしてるがいい!』っと」ポチポチ
シャミ子「…えへへ」ニコニコ
良(お姉…なんだか嬉しそう!)
~桃宅~
桃(『明日も楽しみにしてるがいい』か…ふふっ)
桃「……さて、と」ポチポチ
──数日後───
シャミ子(あれから桃は順調に毎日呟くようになりました。相変わらず「お腹空いた」だの「眠い」だの一言だけですが)
シャミ子(…それでも普段は口にしないようなことばかりで…桃の新たな一面が見られて少し嬉しいかも)
シャミ子「…じゃなくて!この調子で桃の弱点を見つけちゃります!」ピロリンッ
シャミ子「あ、通知…桃でしょうか?」ポチッ
────────────
桃色@FreshP_0325『今日もあの子は最高に可愛かった。抱きしめたい。大好き』
────────────
シャミ子「……え?」
~桃宅~
桃(やばい…アカウント間違えた…!)
シャミ子(え? 何これ、え? 桃の呟き…ですよね?)パシャリ
シャミ子(…思わずスクリーンショット撮っちゃいました)
シャミ子(と、とにかく桃に聞いてみないと…)ポチポチ
────────────
しゃみこ@syadoumisutoresu『桃、今の呟きってどういう意味ですか?
桃色@FreshP_0325『呟き? 何のこと?』
しゃみこ@syadoumisutoresu『え? たった今呟いてたじゃないですか』
桃色@FreshP_0325『呟いてないよ?』
────────────
シャミ子「なっ…そんなはずは…確かに私はこの目で」ポチポチ
シャミ子「…あれ!? 呟きが消えてる! なんで!?」
桃(やばいやばいやばい…よりにもよってシャミ子に見られたなんて…でも消したしなんとか誤魔化せるよね?)ドッドッドッ
────────────
しゃみこ@syadoumisutoresu『今見たら消えてました…』
桃色@FreshP_0325『見間違いじゃないかな?』
しゃみこ@syadoumisutoresu『でもスクリーンショット撮ってるので見間違えではないかと…(スクショ画像添付)』
────────────
シーン…
シャミ子(あれ? 桃からの返事が来なくなっちゃった…)
|扉| ドンドンドン!
シャミコーイルー?
シャミ子「ひっ!?」ビクッ
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シャミ子「も、桃ぉ…?」ガチャッ
桃「シャミ子…さっきのスクショ、今すぐ消そうか」ハァハァ
シャミ子「え? す、すくしょ?」
桃「スクリーンショットの画像だよ! 私が変なこと呟いてた画像!」
シャミ子「は、はいっ」ビクッ
シャミ子「で、でもなんで…? 桃はどうして急にあんな呟きを…?」
桃「そっそれは…」
桃「………実は私のアカウント、知らない人に乗っ取られちゃったんだ」
シャミ子「えぇっ!?」
桃「それで勝手に変な呟きをされるようになっちゃって…困ってたんだ」
シャミ子「そ、そうだったんですか…」
桃「第一、私があんなこと呟くはずないでしょ?」
シャミ子「確かに…! 納得です!」
桃「というわけだからさっきのスクショはすぐ消そうか。私の呟きじゃないからね。乗っ取りのせいだからね」
シャミ子「分かりました!」
シャミ子「……でもつぶやいたーは乗っ取られたままなんですよね? 大丈夫なんですか?」
桃「え? あぁ…大丈夫。もう犯人見つけてコテンパンにしといたから」
シャミ子「おお! さすが桃! なら私のつぶやいたーが乗っ取られた時もお願いしますね!」
桃「分かった分かった…それじゃあシャミ子、おやすみ」ガチャッ
シャミ子「おやすみなさい!」
桃(な、なんとか誤魔化せた……シャミ子がおばかで助かった…)
──翌日・1年D組教室───
シャミ子(昨日は驚きました…まさか乗っ取りなんてものがあるなんて…インターネット怖い…)
シャミ子(私も気をつけないと…勝手に恥ずかしい呟きなんてされたら困ります!)グッ
ミカン「シャミ子…どうしたの? さっきから険しい顔でスマホ見てるけど」
シャミ子「あ、ミカンさん。これはですね…」
シャミ子(そ、そうだ! ミカンさんにも注意しておかないと!)
シャミ子「…実は昨晩の出来事なんですけど…」
ミカン「?」
~まぞく説明中~
シャミ子「……ということがあったんですよ。なのでミカンさんも気をつけた方がいいと思います」
ミカン「乗っ取り、ねえ……私はされたことないけど…」
ミカン「……っていうか、それってアカウントを間違えただけなんじゃないかしら?」
シャミ子「ほへ?」
ミカン「つぶやいたーって一人が複数のアカウントを持つことも出来るのよ」
ミカン「例えば……リアルの友達用のアカウントとネット上の知り合い用のアカウントを使い分けたりね」
シャミ子「何のためにそんなことを?」
ミカン「見知らぬ人に顔や住所を知られないようにする為よ。ネットの知り合いって相手の素性を知らないことの方が多いから……万が一、悪い人だったら危ないじゃない?」
シャミ子「な、なるほど…奥が深いです」
ミカン「あとはそうね…他人に知られたくない本音や愚痴を呟く裏のアカウント、略して『裏アカ』を持ってる子もいるわね」
シャミ子「裏アカ!? 何それちょっとカッコいい!」
ミカン「そ、そうかしら」
シャミ子「あれ…ってことはもしかして、桃もその裏アカを持っていると?」
ミカン「かもしれないわね…裏アカに書くつもりの内容を間違えて別のアカウントで呟いちゃう子って結構いるのよね」
ミカン「あ、でも本当に乗っ取りのせいかもしれないわよ? あくまでそういう可能性もあるってだけで…」
シャミ子「桃が裏アカを…私の知らない本音を…?」ブツブツ
シャミ子(じゃあ……あの呟きも…桃の…)
シャミ子(………………)
ミカン(……私また余計なこと言っちゃったかしら?)
──放課後──
桃「シャミ子、ミカン。一緒に帰ろう?」
シャミ子「あっ、も、桃……」
ミカン「そうね。帰りましょうか」
シャミ子「……そ、そうだ! 私、大事な用があるのを思い出しました! お二人は先に帰っててください!」ダッ
桃「え? ちょ、シャミ子?」
ミカン「行っちゃったわね……」
──翌朝──
桃「シャミ子、学校行こ?」
シャミ子「あ! 先生に頼まれてた事があるんでした! い、急いで行かなきゃ!」ダッシュー
桃「あ………」
──────
桃「シャミ子、あのさ」
シャミ子「あ! 今日も大事な用事が!」ダッシュー
桃「シャミ子」
シャミ子「すっごい大事な用事が!」ダダッシュー
桃「シャミ」
シャミ子「めがっさ大事な用事が!!」ダダダッシュー
シャミ子(うう…あれ以来なんだか気まずくて桃を避けちゃいます…)
桃「…………」モ゛ーン
──河川敷──
シャミ子(はあ…こんな事しても無意味だって、分かってるけど…)
シャミ子(…………)スマホチラッ
シャミ子(……他人に知られたくない、本音や愚痴……)
シャミ子(『今日もあの子は最高に可愛かった』か……)
シャミ子(…………誰のこと、なんだろう)ズキッ
「こんな所に居たんだ…やっぱり用事なんて嘘だったんだね」
シャミ子「えっ…?」クルッ
桃「シャミ子…もう逃がさないから」ゴゴゴ
シャミ子「…………あ、あははー…そういや夕飯の買い出しがあったなー…ということで失礼しm」
桃「はいストップ」キュッ
シャミ子「ほげっ!」ビクンッ
シャミ子「きさま! 尻尾ヒモはやめろと言っているだろう!」ポコーッ!
桃「……ねえシャミ子。私、何かしたかな?」
シャミ子「へっ?」
桃「だって最近…ずっとシャミ子に避けられてるし…」
シャミ子「そっ、それは…」
桃「……もし、無自覚にシャミ子を怒らせるようなことしちゃったなら謝るから…」
桃「だから……理由を教えてほしい。何も言わず…隠したまま逃げるなんて……そんなのずるいよ…」
シャミ子「なっ……」
シャミ子「…………も、桃だって」
桃「え?」
シャミ子「……桃だって!私に裏アカのこと隠してたくせに!!」
桃「えぇっ!?」
>>27の後が抜けてた
桃「う、裏アカ? 何言って」
シャミ子「と、とぼけてもムダだぞ! あの時の呟きだって! ホントは裏アカで呟くつもりだったんだろう! 乗っ取りなんて嘘までついて!」
桃「え、あの、ていうかシャミ子、なんで裏アカなんて言葉知って…」アセアセ
シャミ子「ミカンさんから聞きました!」ポガーッ!
桃(ミカン……ッ!)ギリッ
桃「しゃ、シャミ子。あれはなんていうか、その…」
シャミ子「……なーんて」
桃「え?」
シャミ子「ごめんなさい、桃…ちょっとワガママ言い過ぎちゃいました」
シャミ子「……悔しかったんです。私の知らない桃がいることが。私の知らない…桃の本音があることが」
シャミ子「そう思うと…なんだか桃の顔が見れなくなって…避けるようになっちゃって…」
桃「シャミ子…」
シャミ子「……あの呟き、乗っ取りなんかじゃないんですよね?」
桃「………………うん」
シャミ子「……やっぱり、そうですか」
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シャミ子「───ふう、なんだかスッキリしました!」
桃「シャミ子?」
シャミ子「そもそも、誰にも知られたくない本音なんて皆持ってて当たり前なんですよ!」
シャミ子「それも全部引っくるめて受け入れてこそ、闇の女帝たる者の務めです!」
桃「シャミ子」
シャミ子「さ、この話はおしまいです! 帰りましょう桃! 今日は何が食べたいですか?」
桃「シャミ子!」
桃「……どうして、泣いてるの?」
シャミ子「……泣いてないです。これは…目汁です」ポロポロ
桃「…………」ギュッ
シャミ子「……何してるんですか。離してください」グスッ
桃「……却下。認めませーん」
桃「……ごめんねシャミ子。もう少しだけ、このまま…」
シャミ子「うっ…ぐすっ…し、仕方ないな…魔法少女よ…ひぐっ…眷属の願いを聞いてやるのも…闇の女帝の…務めだからな…っ」ポロポロ
桃「…………」ギュウッ
──────
───
──
シャミ子「……宿敵に恥ずかしい所を見せちゃいました」
桃「そんなの今さらでしょ?」
シャミ子「んなっ!? そんなことはないだろう! 訂正しろきさま!」
桃「はいはい」クスッ
シャミ子「ぐぬぬ……」
シャミ子「…………」
桃「シャミ子?」
シャミ子「……桃! 私…決めました!」
桃「えっ?」ドキッ
桃「き、決めたって…何を?」
シャミ子「い、一度しか言いませんから……よく聞いてください」
桃「わ、分かった…」ドキドキ
シャミ子「私は…………」
桃「うん…」ドキドキ
シャミ子「桃のことを…………」
桃「うん…!」ドキドキドキドキ
シャミ子「……応援することにします!」
桃「うん! …………え?」
桃「え?」
シャミ子「…………」
桃「…………」
シャミ子「……あれ? なんですか、この空気」
桃「……それはこっちのセリフだよ。応援ってどういうこと?」
シャミ子「あ、あれ? だって桃…す、好きな人がいるんですよね?」
桃「…そ、そうだよ?」
シャミ子「だから……私も宿敵として、その人とうまくいくように…桃のことを応援しようと思って……」
桃「…………」
シャミ子「…………?」
桃「あ、ダメだ……闇堕ちしそう……ていうかする……」モ゛モ゛モ゛ーン
シャミ子「桃っ!?」
頑張れシャミ子!
宿敵の本音に気付けるまぞくになるんだ!