シャミ子「やっと、この時がきました」
桃「そうだね…やっと、だね」
シャミ子「桜さんは帰って来て、お父さんの封印も解いて、一族の呪いもきれいさっぱりになりました」
桃「これも全部、シャミ子が頑張ったからだよね。…ありがとう、シャミ子」
シャミ子「はい!…でもあともう一つ。最後にやることがあります」
桃「うん、わかってる」
シャミ子「……ううっ、なんだか緊張します…」
桃「ほら、頑張ってシャミ子。私だって、ずっと待ってたんだから」ニギッ
シャミ子「桃……私、ちゃんと伝えます。伝えさせてください!」ニギッ
シャミ子「…すーっ…はーっ……」
シャミ子「魔法少女千代田桃よ!」
シャミ子「私の、シャドウミストレス優子の…眷属になれっ!」
桃「……喜んで」ニコッ
(*翌日・ばんだ荘玄関)
ミカン「おはよう、二人とも!」
シャミ子「おはようございますミカンさん …ふふ……」ニコニコ
桃「……お、おはよう」
ミカン「みんな揃ったし、学校行きましょうか」
シャミ子「はい! …えへへ……」ニコニコ
桃「う、うん…」
桃「ところで……シャミ子?」
桃「どうして、ずっと私と腕を組んでるのかな?」
シャミ子「私の眷属ですから」ギュッ
ミカン「眷属なら仕方ないわね!」
シャミ子「はい!」
桃「??」
シャミ子「~~♪」ギューッ
桃「???」
(*教室)
杏里「おはよーシャミ子! ちよもも!」
杏里「昨日シャミ子から電話で聞いたよー! ちよももとうとう眷属になったんだって?」
桃「えっ、うん、なったんだけど…」
シャミ子「はい! ごらんの通り!桃が私の眷属です! 私の私の!」チョコン
杏里「なるほど、だからシャミ子はちよももの膝の上にいるんだね!」
シャミ子「これからはここが私の定位置です!」
桃「えっ」
杏里「やったなー!シャミ子! おめでとう!」
シャミ子「ありがとうございます!念願叶いました! 」
杏里「いやー入学当時はあんなにひ弱だったシャミ子にとうとう眷属だなんて…感慨深いものがあるなぁ…」
杏里「ちよもも! シャミ子のこと、これからもよろしくね!」
桃「えっ、うん……別にそんな改まることじゃ」
シャミ子「もーも、よろしくお願いしまーす♪」ピトッ
桃「うん、 …うん??」
シャミ子「んふ~♡」
桃「????」
(*昼休み)
桃「シャミ子、お昼ご飯…」
シャミ子「……ぅへへぇ…」ニコーッ
桃「えーっと、シャミ子…?」
シャミ子「…あっ、桃来ました、一緒にお昼食べましょう!」
桃「うん、お腹空いたし早く食べよう」
シャミ子「じゃあ膝の上乗せてください! 乗せて乗せて! 乗せてから食べてお弁当!」
桃「ど、どうぞ…」カァァ
シャミ子「♪」チョコン
シャミ子「どうですか? 今日のお弁当は自信作です!」ニコニコ
桃(ハートに盛ったピンクの鮭そぼろを乗せたご飯、ハート型になるように切って盛り付けたソーセージ、ミニトマト、玉子焼き、etc…)
シャミ子「はい、桃あーんっ」ニコニコ
桃「!!??」
シャミ子「んー? どうしたんですか? はやくー」ニコニコ
桃「えっ、いや、ここ学校…」
シャミ子「おかーさんおとーさんは、眷属なりたての頃は内外問わず一日三食あーんで完食してたって言ってました」
シャミ子「なのでこれは眷属的に当然のことなのです、はいっ、あーんっ!」
桃「……あ、あーん…?」
桃(まあ…シャミ子だから悪い気はしないけど…かわいいし…)
シャミ子「どうですか? 我が眷属への思いをたっぷり込めてみました!」
桃「ん、美味しい…」
杏里「ニヤニヤ」
ミカン「ニヤニヤ」
桃(お前ら生暖かい笑顔でこっち見るな)
(*下校中)
シャミ子「~♡」ピトッ
桃(帰り道もか)
シャミ子「……あの、桃」
桃「ん? 何?」
シャミ子「その……せっかく眷属になったわけですし、一緒に、暮らしませんか!?」
桃「えっ」
シャミ子「ほ、ほら、まぞく的には眷属ともっと二人きりになれる空間が欲しいなって…」
シャミ子「それに…二人のお家とかそういうの、正直憧れるし…」
桃「あのさ、その…眷属ってこういう感じなのかな…?」
シャミ子「え? こういう感じとは?」
桃「いや、眷属について…実際の距離感とかは知らなかったから……正直想像より近い感じだなって」
シャミ子「おとーさんとおかーさんは眷属になったらすぐ一緒に暮らし始めて、おはようからおやすみまでを共にするようになったって言ってました」
桃「そうなんだ…?」
シャミ子「はい。 もう桃が眷属になったことも伝えたので色々聞いてきました」
桃「そ、そっか」
桃(…なるほど、眷属って一緒に暮らすものなのか…
既に公認してるからセーフ
桃「…あっちの家の方がいいかな。 お姉ちゃんは私たちにこの町任せて出張してるし」
桃(というかご家族やミカンや…特に小倉やリコさんの近くでこの距離感は勘弁してほしい)
シャミ子「……ぜひぜひっ! 帰って荷造りしますね!」パァァァ
桃「うん、私もそうする」
シャミ子「私、とっても嬉しいです! ありがとうございます桃~!」ギューッ
桃(近い近い…しかも柔らかい…)
桃「…シャミ子、私が眷属になってからグイグイ来るようになったね」
シャミ子「だって眷属ですから!」ギューッ
桃(あぁ…めっちゃ役得じゃん眷属…)
桃(……いやでも、なんかおかしいような…?)
(*数日後・千代田家)
シャミ子「というわけで、本日からお世話になります」(三つ指お辞儀)
清子「とうとうこの日が来たのですね…優子、元気でやるのですよ」
リリス「桃よぉ…シャミ子はいい子だ…よろしく頼むぞ…」グスグス
ヨシュア「頑張れ優子! お父さんたちのような幸せな家庭を築くんだ!」
シャミ子「おかーさん、おとーさん、ごせんぞ…ありがとうございます…」ウルウル
良子「お姉の眷属が桃さんでよかった…軍をより磐石にするため、頼れる家臣がお姉の傍にいてくれれば士気も高まるはず」
シャミ子「ちょっと、それじゃ私が頼りないみたいじゃないですか」
アハハハハハ!
シャミ子「…みんな、いつでも遊びに来て下さい! ね、桃?」ギュッ
桃「あ、うん。 気軽に来て下さい」
リリス「シャミ子やぁ…寂しくなるぞぉ…おいおいおい…」グスグス
清子「引っ越しも終わったし、そろそろお暇しましょう」グイッ
リリス「シャミ子ぉ…シャミ子やぁ…毎日遊びにくるからなぁ……」ズルズル…
桃(気軽にとは言ったが少しは遠慮しろ)
シャミ子「みんな行っちゃいましたね」
桃「リリスさんは引きずられていったけどね」
シャミ子「…ふたりきり、ですね」ギュッ
桃「そ、そうだね」
シャミ子「ふたりぐらし……ですね!」ギューッ
桃「う、うぅ、うん」
シャミ子「えへ~♪」
桃「……」
桃(おかしい、なんだ…なんなんだこの状況……)
桃(いや、こんなに幸せなことはないけど…いくら眷属になったとはいえ、こんなにも私に都合よく、トントン拍子で進む…?)
シャミ子「ささ! 眷属生活スタートです! 今日のお昼は引っ越しそばですよ! かき揚げ付きです! さっそく作っちゃります!」
シャミ子「…この下ろし立てのエプロンどうですか?似合ってます?」
桃(……まあ後で考えよう、シャミ子かわいいし)
シャミ子「ごちそうさまです」
桃「ごちそうさま。シャミ子のご飯、今日も美味しかった」
シャミ子「お粗末さまです」
桃「そういえば、聞きそびれてたんだけど。寝るところってどうする? うち布団ないし、引っ越し荷物にもなかったし、ソファーは…その、二人は流石に危ないし」
シャミ子「あっ、気づいちゃいました?」
桃「えっ? どういうこと?」
シャミ子「えへへ…♪」
桃「?? 意味わからないんだけど…」
シャミ子「ないしょでーす♪ 後のお楽しみってことで!」
シャミ子「それより、天気もいいし洗濯してしまいますね。 桃の洗濯物は出てるもので全部ですか?」
桃「ああ、うん。お願いするね」
シャミ子「それとこれから洗濯は毎日私が担当します! 」
桃「えっ、料理はアレだけど洗濯はこれまで自分でやってたし…家事は当番にするとか…」
シャミ子「いいんです! 私がしたいのでやります! じゃあ代わりに掃除お願いします」
桃「それならまあ…」
シャミ子「…ところで、今着てるシャツもそろそろ洗濯しますか?」
桃「いや、今朝着たものだしまだ…」
シャミ子「はい着替え持ってきました! 早く着替えて着替えて!」
桃「えっだからまだ…というかクローゼットの場所教えたっけ?」
シャミ子「いいから! ほら脱いで脱いで!」
シャミ子(というわけで洗濯請け負いました。早速洗濯機に……とその前に)
シャミ子「…桃の脱ぎたてシャツ」ギュッ
シャミ子「…すんすん」
シャミ子「…………くんくん…くんか…」
シャミ子「…くんか!…くんかくんか!」ギューッ
シャミ子(うぁ…桃のいい匂い…あたまほわほわする…)
シャミ子(これからこれが毎日嗅ぎ放題…幸せがすぎる…)
シャミ子「す~~っ…は~~っ……♡」
シャミ子「はぁ~……ももぉ…すき……」
シャミ子(これも全部桃が眷属になってくれたから…頑張ってよかった…)
シャミ子「桃ー、おやつ作りました! 今日はパンケーキです! 冷や飯でかさ増しなんてしてない100%パンケーキですよ!」
桃(パンケーキに100%とは?)
シャミ子「ほらほら、冷める前に一緒に食べましょう!」チョコン
桃「やっぱり膝の上座るんだ…」
シャミ子「ここが定位置ですから!」
シャミ子「はい、あーんっ」
桃「…あーん……んむ…」
シャミ子「どうですか?おいしいですか?」
桃「う、うん。やっぱりシャミ子が作ってくれたのが一番美味しいよ」
シャミ子「えへへ~♪」
桃(…軽く慣れてきた自分が怖い)
シャミ子「それじゃあお皿洗いしてしまいますね。桃は座っててください」
桃「ああ、うん。ありがとう」
シャミ子「~~♪」(鼻歌)
桃「……」
桃(…やっぱり、いろいろおかしい…)
桃(シャミ子が家事してる間に眷属について調べてみたけど…三食あーんとか、腕組んで歩くとか、そんなのどこにも書いてないし)
桃(まあネットで調べられるまぞく情報なんて多くないけど…眷属になった途端に……)
桃(それに、なんでみんな、この距離感について『眷属』と言えば違和感を持たないんだ…?)
ピンポーン
桃「……?」
シャミ子「あっ、来た…!」
桃「……」
桃「…………えっと、シャミ子? これは…?」
シャミ子「ベッドです!」
桃「その、かなり大きいような…」
シャミ子「ダブルサイズです!」
桃「色々ついてるような…」
シャミ子「天蓋つき、カーテンつきです♡」
シャミ子「ずっとお布団生活だったからこういうの憧れてたんです! 貯めてたバイト代はたいて買っちゃいました!」
シャミ子「桃っ、これから毎日一緒に寝ましょうね♡」ピトッ
桃「う、うん」ゴクリ…
桃(シャミ子と! お姫様ベッドで! 毎日! 一緒に……!?)ドキドキ
桃(なんなの? 眷属って一体なんなの!?)
「すみません、サインの方フルネームでお願いします」
シャミ子「あっ、はーい」
シャミ子「えっと、『千代田 優子』と……えへへ…♪」
桃「…………?」
桃「……………………ちよ、だ? ちよ………ぇ?」
桃「!!!!?!!???」
「では搬入は以上となります、失礼しまーす」
シャミ子「はーい、ありがとうございましたー」
桃「あ、ああああ、ああの、しゃ、シャミ子?」
シャミ子「? どうかしました?」
桃「いやいや、いや、その…『千代田 優子』って…」
シャミ子「書類的にはまだですけど、ついつい名乗りたくなっちゃうんです、えへへ…」テレテレ
桃「…書類? え??」
シャミ子「そりゃあ、まだ年齢的にできませんけど…でもあと数年で実際に『千代田 優子』なりますし!」
桃「え? え?? なるの??」
シャミ子「え? なりますよ? …あっ、それとも『吉田 桃』の方がいいですか? まあボス的にはそっちの方がいいのかもだけど…私的には桃の名字がほしいなーとか…ほら桃の家で暮らしてるのもあるし……『千代田 優子』……うふふ…♡」
桃「…………」
桃「……あのさ、シャミ子? 」
桃「結局、『眷属』ってなに?」
シャミ子「…………? なに? とは?」
桃「いや、これ、どう考えても眷属っていうか…」
桃「……新婚とか、婚約とかに限りなく近い何かな気がするんだけど」
シャミ子「? だって婚約してるじゃないですか」
桃「…えっ」
シャミ子「えっ」
シャミ子「……えっ? だって眷属になってくれたじゃないですか?」
桃「け、眷属にはなったけど、それがなんで婚約に繋がってるのかな?」
シャミ子「えっ、えっ…、だって! だって眷属になったんだから! それってつまり婚約済みじゃないですか!? 」
桃「なんで眷属が婚約になってる!? 嫌とかじゃなくて、そういうの私にも大事な話だよね!?」
シャミ子「は? え? いや、だって眷属って…!」
桃「眷属だけど! 婚約なんて一言も聞いてないし! 言ってない!」
シャミ子「……ぇ?」
シャミ子「………………」
シャミ子「………」
シャミ子「……実家に帰らせていただきます」
桃「えっ」
シャミ子「……ぐす」
シャミ子「ばか……」
桃「…………」ポツーン
桃(…………?)
桃(………???)
桃(えっ、えっなにこれ…? 私が悪い感じなのこれ?)
桃(……)
桃(いや、だってなんにも聞かされてないし…)
桃(というか結局『眷属』ってなんなのかすらわからないままだし…)
桃(…………)
桃(………)
桃(……泣かせちゃったのは、悪かったよね…)
(*ばんだ荘)
ピンポーン
清子「あ、桃さん…」
桃「すみません…シャミ子来てませんか?」
清子「ええと、ついさっき泣きながら帰ってきて」
桃「あの……入ってもいいですか?」
清子「……ケンカでもしました…?」
桃「う……そんなところです」
清子「…まあ、しますよね。ケンカの1つ2つ」
桃「…ごめんなさい」
清子「とりあえず上がって、話はそのあとです」
シャミ子「……うぅ、ぐず……ひぅ……もも…なんで…ぇ……」
リリス「おのれ桃色…シャミ子を悲しませるなど生かしておけん…」
ヨシュア「頑張れシャミ子…」
良子「どうしよう……お姉の軍が瓦解…分裂…内紛…」
桃「……おじゃまします」
シャミ子「…っ! も、もも……?」
リリス「!! 桃っ! 貴様ー!よくも我が可愛い子孫をっ! 許せん!」
シャミ子「……ぐず…」
桃「……あの、シャミ子…その…」
桃「……私はよくわかってなかったけど、シャミ子が一緒に暮らしたいって言った時さ、本当に嬉しかったんだよ」
桃「それに、膝の上乗ってくる時とか、お弁当あーんしてきた時とかさ、恥ずかしかったけど、嬉しかった」
桃「だから、嫌とかじゃなくて…ちゃんと話がしたいなって、これからのためにも」
シャミ子「……」
シャミ子「…あの時、『眷属になれ』って言ったの、私はずっとそのつもりでいたんです…」
シャミ子「これまでずっと頑張って頑張って……やっと桃が眷属になってくれて……婚約するわけで…そういうつもりでいたのは私だけで……弄ばれた…ぐず…」
桃「私は眷属に婚約が含まれるとは思ってなかったから…その、突然近くなったな、って…」
シャミ子「だっ、だって眷属って家族のようなものっておかーさん言ってたし! おとーさんとおかーさんも結婚してるんだからそういう事でしょう!」
桃「…お父さんさんとお母さんの話は知らなかった」
シャミ子「…むすー…」
桃「いや、そんな顔されても…」
リリス「……あの、言いづらいんだが…」
リリス「二人とも眷属の意味をわかって契約したのか?」
シャミ子「え?」
桃「え? 」
゛
眷属(けんぞく)
①血筋のつながっている者。一族。親族。
② 従者。配下。
゛
良子「えっと、つまり…」
リリス「シャミ子は清子とヨシュアの例を見て『眷属=婚約』とずーっと誤解をしていたと」
シャミ子「ごめんなさい」ドゲザ
桃「……」
シャミ子「ほんとにごめんなさい」ドゲザ
桃「いや、もういいから顔上げて…」
シャミ子「…おとーさんとおかーさんから聞いた眷属についてはそういう話ばっかりだったし…周りには二人の例しかないから…そんな感じとばかり…」
リリス「あーそりゃあ身近な両親の例のみを参考にしたらそう思っちゃうかぁ…」
桃「そして気持ちが逸るばかりにそれを言いふらしたから、ミカンと杏里も誤解して冷やかしてきたと…」
リリス「余はてっきり、若さに任せて一緒くたに婚約まで済ませたのかと思ってたぞ…」
良子「良も…青春とは心の若さ、若気故の勢いと熱情に二人は身を委ねてしまったのかと」
清子「お母さんは同じ意味だと思ってました」
リリス「えっ」
シャミ子「桃、ほんとにごめんなさい…ちゃんと伝えてなかったの私なのに…浮かれてばっかりで、いっぱい迷惑かけて、ばかとか言っちゃって…」
シャミ子「せっかく眷属になってくれたのに、怒らせて……これじゃ失格です…桃のこと任せてくれた桜さんに顔向けできません…」
シャミ子「眷属も、婚約も、同居も…全部なかったことに…」
桃「……」
桃「いや……私も、正直浮かれてた。シャミ子近いし、ずーっとニコニコしてるし、甘えてくるし……かわいいし」
桃「だから、呆れはしたけど……怒ってるとか、嫌いになったとかそんなのはないよ」
桃「それに、怒るとしたら…」
桃「婚約するならさ、やらなきゃいけないことがあるでしょり私から家族に挨拶とか」
桃「…こういうのはちゃんと私からも、言わせて欲しい」
シャミ子「え……?」
桃「…すーっ…はーっ……」
桃「お義父さん、お義母さん、…リリスさん…はいいや別に」
リリス「おい」
ヨシュア「……」
清子「……はい」
桃「まだまだ、眷属として頼りない未熟者ですが…」
桃「……シャミ子のことを…娘さんを私に、ください」
シャミ子「もも……」
清子「……」
清子「…『眷属になる』って聞いた時点で元よりそのつもりでしたが」
ヨシュア「…桃さんの口からちゃんと聞けてよかった」
桃「それじゃ…」
清子「ええ、私たちからとやかく言うことはありません。ただ、これからはちゃんと意思伝達を大事にしてくださいね。夫婦円満の秘訣です」
シャミ子「桃…? ほんとにいいんですか? こんな私で…」
桃「眷属だからね。主人のことちゃんと見とくもの私の役目かなって」
桃「それに、私だって……」
清子「まあ、夫婦ケンカなんて誰でもしますしね。お父さんとお母さんだって眷属になってからしましたよそりゃあ」
清子「……優子、桃さん。仲良くやるのですよ」
ヨシュア「頑張れ二人とも! 明るい家庭を築くんだ!」
桃シャミ「……はい!」
リリス「なんか納得いかないが…まあ今回は見逃してやる」
良子「よかった…内部崩壊の危機は免れた…
(*千代田家・ベッドルーム)
桃(なんか、異様に長い1日だった…)
桃(でも、これで……今度は誤解でもなく本当に…
桃(ほんとにシャミ子と…ふふ、ふふっ…)
桃(……それにしても、シャミ子お風呂遅いな…?)
シャミ子「……お、お待たせしました…」ガチャッ
桃「あ、お帰り……?」
桃「え? なんで危機管理フォーム…?」
シャミ子「そ、その…どうですか……?」カァァァ
桃「え、えっとかわいいと思……じゃなくて、なんでその格好なのかな…?」
シャミ子「……夜、これでベッドに行くといいことがあるって、ごせんぞが…」
桃「えっ」
シャミ子「それと、桃に色々教えてもらえば喜んでくれるかもしれんぞーって…」
桃(…絶対からかってる)
シャミ子「桃……その、私は…教えてほしいです…」カァァァ
シャミ子「どうしたらいいのかわかんないけど、私は桃に喜んでほしいし…」ギュッ
シャミ子「わかんないのに…なんか、ドキドキする…もも…」
桃「……ゴクッ…」
桃「ほ、本当に、いいん、だよね?」
シャミ子「はい…」
桃「…膝の上、おいで」
シャミ子「……ん…」チョコン
シャミ子「……あの、桃」
桃「ん、なに?」
シャミ子「…ちゃんと言ってなかったけど、その……好きです。結婚したいくらい好きです…!」カァァァ
桃「……うん、私も、大好きだよ。愛してる、眷属になる前から、ずっと」ギュッ
シャミ子「もも…」ギュッ
(*数日後・教室)
桃「シャミ子、お昼食べよう!」
シャミ子「はーい、これ今日のお弁当です! 重箱で二人ぶん入れてきました!」
桃「今日のお弁当も改心の出来だね、もうシャミ子の作ったご飯しか食べたくないな」
シャミ子「言われなくても毎日作りますよ! 私も桃が美味しそうに食べてくれるの大好きです!」
桃「ふふっ…じゃあ、今日も早速……ほら膝の上、乗って」
シャミ子「えへへ…はいっ!」チョコン
シャミ子「はい、桃、あーんっ!」
桃「あーんっ……」
桃「……うん、今日のお弁当も最高だよシャミ子」
シャミ子「よかったです! 愛情込めて作ったかいがありました!」
桃「ほら、シャミ子も、あーん…」
シャミ子「あーんっ…」
桃「ふふっ…」
シャミ子「えへへ…」
杏里「あそこまで来ると…ねぇ」
ミカン「毎日見せられるとこっちが胃もたれするわ…」
頑張れ二人とも!
アツアツな新婚ホヤホヤの今を楽しむのもこれから先の円満の秘訣だぞ!
おわり
男気のある桃でよかった
あと慣れるとウザキャラのシャミ子かわいい
今日は最高のSSが見れて幸せだ